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2011年05月19日

下水汚泥から放射性物質が

下水汚泥の焼却灰から、放射性物質が検出されました。
とうとう、というか、やはりというか。

「下水が汚染されている」ということで、不安を感じられた方もいると思います。
(でも、それで不安を感じられた方は、
結構下水道システムのことをご存知なのだと思います。)

さて、「放射性物質が付着している野菜でも、洗えば大丈夫」とか
「食べたとしても、ほとんどが体外に排出される」とおっしゃる
学者先生方がいます。
その真偽のほどはおいといて、もしその通りだとすると、
その先どうなるのかイメージされてらっしゃるのでしょうか?

物質循環を正しく理解されているのであれば、
目の前から消えたら問題解決、なあんて思わないはず。

水で洗ったとしても、体外から出たとしても、
都市域ではすべて下水道に流れていきます。
また、雨と一緒に汚水を輸送する「合流式下水道」の地域では、
雨が降れば空気中に浮遊しているものや
アスファルト等の道路に蓄積しているものも、下水道に流れていきます。

そうやって、集められた下水を処理してきれいにすると、
そこから引き離された「汚れ」の部分が残ります。
それが下水汚泥です。

汚泥と言っても、そのままではかなりの水分を含んでいるので
(ドロ水のイメージです)、
できるだけ容量を少なくするために「濃縮」したり、
「脱水」する工程があります。

下水汚泥から放射性物質が
左 クリックすると、汚泥の処理工程の一例が出ます。 


そうしないと、処分するための輸送費がかかったり、
汚泥のリサイクルも難しくなるからです。


ということで、下水道の汚泥処理工程では
汚泥量をできるだけ少なくするために努力をし、
なかでも水分を最大限飛ばす方法は燃やすことです。
そうして残った状態が「焼却灰」です。

なので、下水そのものに含まれている放射性物質がたとえ超低レベルでも、
広範囲から集められてくるので
汚泥から高濃度で検出されるのは当然のことなのです。

さて、東京都下水道局では、5月19日付で
下水処理における放射能等測定結果を公表しました。
同局では放射線量を測定する装置を持っているのですが、
その内訳まではわからないので、きちんと分析したようです。

そこでは、「空間放射線量」の測定結果もあわせて出されています。
処理場周辺等への配慮から、汚泥からの放射線量を示したようです。
その数値は0.09~0.14マイクロシーベルトなので、
表現こそされてませんが、「心配ない数値ですよ」ということだと思います。

でも、ほかにも気になることがあります。
放流水の数値です。

汚泥に高濃度で検出されたということは、
処理水には心配するほど残っていないと私は考えますが、
普通は、「汚泥にあれだけ放射性物質が含まれているのなら、
放流水にも含まれているのでは?」と思うのではないでしょうか?

放射性物質がそこここから下水に集まってくる状況なのですから、
汚泥中の放射性物質が高濃度になることは自明の理。

それよりも、汚泥がしっかりと吸着しているので放流水は安全である、
そういった因果関係を示してほしいものです。



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Posted by りんぼ at 22:47│Comments(0)下水道
 
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