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2010年11月02日

水がきれいになるしくみ

使った水をきれいにするときに、大活躍するのは微生物です。

水中の汚れを吸着、酸化、同化してきれいにしてくれます。
自然の川も時間をかけて、そのようなしくみできれいになります。

でも、下水のようにすごく汚れた水の場合は、
たくさんの微生物を使って効率よくきれいにしなければ
間に合いません。

たくさんの微生物が生きていくには、たくさんの酸素が必要です。
ですが、水1リットル中に、酸素はわずか10mg前後しか
溶けません。

なので、下水処理場では機械的に空気を吹き込んで、
微生物を活発にさせます。

すると、微生物同士が集まり出し、綿くず状となります。

水がきれいになるしくみ中央の細長いのが「イタチムシ(カエトノータス)」です。
わかりにくいけど、イタチのように(?)毛で覆われています。

その下のほうにモヤモヤしているのが微生物の集団で、
この集団がたくさん増えて、どんどん水をきれいにしてくれます。

集団の中では、細菌や原生動物、後生動物が
食べたり食べられたりしながら生態系を形成しています。

空気の動きを止めると、そのモヤモヤが下に沈み、
上はきれいな水となります。

多くの処理場がこういったことを繰り返す方法で、
水をきれいにしています。

大活躍してくれた微生物たちですが、沈んだああと、
いつもでも底に残しておくわけにいきません。
ドロ状に見えるものは、一部は水処理工程に戻したりしますが、
ほとんどを処理(あるいは利用)しなければなりません。

浄化槽の場合も、基本的には同じです。
設置したらおしまいではなく、きちんと管理しなければなりません。
一軒ずつドロを引き抜いた後、ドロを処理してくれる施設まで運んで
処理します。

   * * * * *

それにしても、なぜ微生物は集まるのでしょうか?

集団内で生態系を作っているということですから、
集まることで、そこを安住の地にしているのかもしれません。

水がきれいになるしくみこれは、「ゾーグレア」という細菌で、ネバネバしているので、これにいろいろな微生物がくっついてくるそうです。
ほかにもネバネバを出す微生物はいるそうで、
そのような微生物にくっついて、微生物の集団ができるようです。


でも、「ネバネバを出さない」と思われている微生物でも、
安住の地を求めるために、意外とネバネバを出しちゃうもんなんじゃないか、
なあんて勝手に思っています。

自分の都合に合わせて形を変えたり、オス化したりする原生動物もいるくらいですから、
いざというときにネバネバを出すくらい、ちょろいのではないでしょうか?

ミミズが、ストレスを与えるとネバネバ成分を出す、
というのを知って、そんなことをアレコレ考えています。 晴れ

そんなことを研究されている方……いないでしょうね。


 [写真は、農学博士の古賀みな子さんからお借りしました]



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この記事へのコメント
職場のお局としての大成をめざすためには、オーラ「ねばねば」を自在に出したり消したりする制御機能を養わねばと考えています。
Posted by 都鳥 at 2010年11月02日 22:08
☆都鳥さん
(〃^∇^)o_彡☆あはは~ 問題は、「消す」機能のほうでしょうか? 私は、「出す」ほうもですが。
お互いがんばりましょう!
Posted by 管理人りんぼ at 2010年11月03日 00:02
うーむ。
だんだん、深くなってくるお話。
 細菌の方ですが・・・
バクテリア、アメーバー、が主役ですね。
 放線菌、糸状菌なんかが好きです。
だって、浄化の能力抜群ですよ。
 ある意味、ネバネバに寄り付かない孤高の菌では?
 悪さするって、人間が決め付けているだけです。(水処理の関係者が・・)
 皆、仲良くしましょう。
Posted by ころ助なり at 2010年11月03日 01:05
あ、因みに、夏休みの研究でミミズの生態を調べたのは、内緒ですが、あの頃に戻りたいです。^-^¥
Posted by ころ助なり at 2010年11月03日 01:26
☆ころ助さん
放線菌や糸状菌って、スカムを発生させたりバルキングを引き起こしたりするものもありますから、要注意細菌ですよ!!
Posted by りんぼりんぼ at 2010年11月04日 00:04
スカムとかバルキングとか、業界用語が通じてしまうというところがすごいですね。ところで、ねばねばの正体は何なのでしょうか。こんぶと同じ多糖類というやつですか?
Posted by 都鳥 at 2010年11月04日 00:11
 スカム、バルキングを解消する技術が商売になっているのは疑問です。
 沈まないのが悪いみたいに、扱う事がどうかな?と
更に、膜の技術が台頭しています。
 菌屋さんも、胡散臭い一部の人が居ると思います。膜屋さんもね。
まあ、おいらが随分胡散臭いのですがORZ。
Posted by ころ助なり at 2010年11月04日 00:49
☆都鳥さん
ネバネバは、「莢膜(きょうまく)」と言われているものらしいので、Wiki を見てみたら・・・
ピンポ~ン! 「ほとんどの菌の場合、多糖類から構成される」って書いてありました。あと、ポリペプチドとかペプチドグリカンとかいろいろ書いてあるけど、よくわからないので、読んでみてくださーい。
Posted by 管理人りんぼ at 2010年11月04日 22:41
☆ころ助さん
汚泥が沈まないと、上澄み水が取れないじゃないですか。だから、ふつう、沈降性が悪いとアタフタするんですよ。
まあ、こういうことをご存知のうえで言われているのでしょうが。
以前、ある先生が、「汚泥は沈むのではない。汚泥から水が抜けていくのだ。だから、少しくらい沈まなくてもあわてる必要はない。水面を広くとれば、いろいろな箇所で違う現象が起こり、水が抜けていくチャンスもたくさんできる」と言われていました。
Posted by 管理人りんぼ at 2010年11月04日 22:51
水面積負荷については」、さもありなんですね。
但し、費用対効果の問題が大きいかと・・
糸状菌について、ある実験をしたことがありました。
なにかというと、沈殿池に入る前にある仕掛けをして沈降性の向上がどうなるのかという目論見です。
 台所用品の、洗剤無くても汚れが落ちる布巾○○サラッシュとかいうのを(網目が複雑になっています)何重かに折って、活性汚泥水を通過させるだけ。
 網目に引っかかるのは、成長した糸状菌だけで、それも水圧の作用によりちぎれて通過するようです。
 沈降性は、なにもしない時より圧倒的に良いです。
仮説が合っていれば、工夫の余地はありそうですね。
 かなり安価で出来そうです。
研究・開発・製品化しちゃおうかな?あ、これは嘘です^-^。
 その時の写真、探してみますね
 
Posted by ころ助なり at 2010年11月05日 18:19
☆ころ助さん
糸状菌にすごい浄化能力があるかどうか私は知らないのですが、一部の糸状菌は固液分離障害を引き起こすということだけは知っています(3種類だけは知っています)。
で、ころ助さんの実験では、その浄化能力をばっ気でできるだけ活用して、最終沈殿池の手間で簡易的なろ過をして沈降性阻害への影響をなくす、というものなのですね。
おもしろそう~! メンテナンス性、実用性なども考慮して、その結果をぜひ、「下水道研究発表会」で披露してほしいものです。
Posted by 管理人りんぼ at 2010年11月06日 16:35
N021とかが、悪さしますね。
以前、糸状性細菌で困った経験から色々勉強しました。
実験は、業界紙の事例報告を見て行ったものです。(姫路市?とかどこか失念)物を、大量に工業買いしてまだ残ってます。ロールで。うちの関係者は、そんなの嘘だろ?という反応で、まあ確かめなきゃとラボでやったんですね。
そうしたら、目をみはる結果でした。その後、仲良しのN021君が居なくなって久しいです。(高価な薬品で殺した訳ではありません。)TOT
 必要は、発明の母です。(違ったか?)
Posted by ころ助なり at 2010年11月06日 19:37
☆ころ助さん
現場での創意工夫、期待してますよ!
Posted by 管理人りんぼ at 2010年11月09日 00:14
 
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