使った水をきれいにするときに、大活躍するのは微生物です。
水中の汚れを吸着、酸化、同化してきれいにしてくれます。
自然の川も時間をかけて、そのようなしくみできれいになります。
でも、下水のようにすごく汚れた水の場合は、
たくさんの微生物を使って効率よくきれいにしなければ
間に合いません。
たくさんの微生物が生きていくには、たくさんの酸素が必要です。
ですが、水1リットル中に、酸素はわずか10mg前後しか
溶けません。
なので、下水処理場では機械的に空気を吹き込んで、
微生物を活発にさせます。
すると、微生物同士が集まり出し、綿くず状となります。
中央の細長いのが「イタチムシ(カエトノータス)」です。
わかりにくいけど、イタチのように(?)毛で覆われています。
その下のほうにモヤモヤしているのが微生物の集団で、
この集団がたくさん増えて、どんどん水をきれいにしてくれます。
集団の中では、細菌や原生動物、後生動物が
食べたり食べられたりしながら生態系を形成しています。
空気の動きを止めると、そのモヤモヤが下に沈み、
上はきれいな水となります。
多くの処理場がこういったことを繰り返す方法で、
水をきれいにしています。
大活躍してくれた微生物たちですが、沈んだああと、
いつもでも底に残しておくわけにいきません。
ドロ状に見えるものは、一部は水処理工程に戻したりしますが、
ほとんどを処理(あるいは利用)しなければなりません。
浄化槽の場合も、基本的には同じです。
設置したらおしまいではなく、きちんと管理しなければなりません。
一軒ずつドロを引き抜いた後、ドロを処理してくれる施設まで運んで
処理します。
* * * * *
それにしても、なぜ微生物は集まるのでしょうか?
集団内で生態系を作っているということですから、
集まることで、そこを安住の地にしているのかもしれません。
これは、「ゾーグレア」という細菌で、ネバネバしているので、これにいろいろな微生物がくっついてくるそうです。
ほかにもネバネバを出す微生物はいるそうで、
そのような微生物にくっついて、微生物の集団ができるようです。
でも、「ネバネバを出さない」と思われている微生物でも、
安住の地を求めるために、意外とネバネバを出しちゃうもんなんじゃないか、
なあんて勝手に思っています。
自分の都合に合わせて形を変えたり、オス化したりする原生動物もいるくらいですから、
いざというときにネバネバを出すくらい、ちょろいのではないでしょうか?
ミミズが、ストレスを与えるとネバネバ成分を出す、
というのを知って、そんなことをアレコレ考えています。
そんなことを研究されている方……いないでしょうね。
[写真は、農学博士の古賀みな子さんからお借りしました]