水をきれいにして返すお仕事

りんぼ

2010年10月15日 01:24

使った水などを集めてきれいにして川や海に返す、
これが下水道の主な役割です。

では、どのようにして水をきれいにするのでしょうか?

最初に大きなゴミを取り除いたり沈殿させたりしたあと、
水に溶け込んだ汚れなど細かなものについては、
なんと微生物に分解させたりしてきれいにしているのです。


「なんとまあ、原始的な」と思われるかもしれませんが、機械や薬品を使って同じようなことをしようとするととても費用がかさむし、エネルギーも使うのです。



ですから、下水処理の基本はバイオ技術なのです。

でも微生物という生き物を扱うわけですから、コントロールが難しい という弱点があります。

「この微生物が増えたら、結構水がきれいになっている証拠」と目安になる微生物はいます。
でも、その微生物を投入すればいい、
という単純な話にはなりません。


仮に大量投入をしたとしても、
そこがその微生物にとって住みにくい場所であれば、死んでしまいます。
下水処理場を管理をしている人の中には、
「微生物を飼っていると思って仕事をしている」なあんていう人もいます。


水生微生物にとって、水の汚れはごちそうです。

生き物ですから、
万が一、汚れが少な過ぎる場合には
“補給”しなければならないこともありますし、
常に食べ物をたくさん与えるよりも、より吸収させるために一時的に飢餓状態にする、などのテクニックも必要です。



生きるために一所懸命な感じで、
愛嬌もあって、かわいいと思いませんか?






微生物は、生態系のピラミッドの底辺にいる存在ですが、
たとえば、いつも川にいたはずのたった一種類の微生物がいなくなってしまうことで、もしかすると、
ある動植物が絶滅してしまうことにつながっていくかもしれません。

敏感な微生物の動向を確認することで、
大きな環境の変化がわかるかも。

そう考えると、水質調査などで水中の微生物を観察することは、
「生物多様性」という課題のなかで、
とても重要なことの一つなのではないかなあと思っています。


[※ 今回の写真は、汚れた水がきれいになるときに見られる
   微生物です。
   いずれも、農学博士の古賀みな子さん からお借りしました]

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